弱視者・高齢者に有効であろう視覚的配慮とその理由等

 

●誘導ブロック
・基本的に黄色。地との輝度比2.0以上のもの。地の色が白や黄色に近い場合はブロック両側に10センチ程度の縁取りを付け輝度比を確保したもの。
・道路から総合案内まで敷設。
・階段や段差などの危険箇所に敷設。
※弱視・・・誘導ブロックを視覚的に活用しており、誘導ブロックは黄色という認識が強い。総合案内までたどり着くことができれば必要に応じサポートを依頼できる。(床面の凹凸は、車いすや杖使用者、ストレッチャーによる搬送時などに邪魔であったり危険物になりかねず、病院内の廊下は敷設を控えた方が良いのではないかと思われる。)

●階段
・始まりと終わりに誘導ブロックの敷設。
・段鼻にコントラストのある滑り止めの取り付け。
※弱視・高齢者・・・特に階段を見下ろした際、段差が見えづらい。踏み外しによる転倒の危険性が高い。

●サインの位置
・近づける高さに表示。
※弱視・・・近づければ判読可能なケースが多い。視野狭窄にも有効なケースが多い。
※高齢者・・・老化による視野の狭まりから、高所のサインは見落としがち。また、高齢者の多くが前傾姿勢であるため、低い位置のサインが見つけやすい。

●サインのフォントや配色
・大きく、地の色とのコントラストを確保し表示。
※弱視・・・ゴシック体、黒字に白文字などが特に見やすいケースが多い。濃い色、淡い色は区別がつかないケースが多い。
※高齢者・・・老化により視界が黄色がかってくるため、黄色との配色には要注意。青や緑は黒と認識されやすい。

●トイレ
・上記「サイン」の項目内容をふまえ、入り口に見つけやすく男女の区別が容易な表示。また、個室内の水洗ボタンと緊急呼び出しボタンだけはわかりやすく表示。
狭義の弱視者だけでなく、広義の弱視者、また、高齢者(高齢視)も含めると、視覚的配慮を望む人たちは相当数存在すると推測できます。
前ページの項目は、あくまでも一人の弱視者が列挙したものですが、当事者団体が多くの声を集約し関係機関などに要望している事柄も含まれています。 高齢者に関することは、高齢視関連の情報を元に記述しました。
ぜひとも参考にして頂き、新しい西予市立病院のバリアフリー化に取り入れて頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。           
愛媛弱問研 佐藤麻衣
★備考
◎弱視について
最も狭義である視覚障害者認定の2級から6級の人数でも19万人(視覚障害認定のうち6割以上の人数)、日本眼科医会の発表によれば144万9000人いると言われている。
症状は、視力障害(矯正視力0.3以下)、視野障害(狭窄・欠損)、色覚異状、羞明など、状態や組み合わせが個々に異なり、〝見えにくさ〟や〝不自由さ〟はさまざまである。
(原因:網膜色素変性症、(加齢)黄斑変性症、緑内障、糖尿病網膜症、白内障、角膜や視神経の病気、脳卒中など。)


◎高齢視にういて(カラー環境デザイン研究所のWebページより)
誰でもいつかは“ 高齢視”に!
人の眼は40代から、加齢とともに徐々に変化し、“ 高齢視”という状態になっていきます。
近くのものに焦点が合わない(いわゆる老眼)、視力が低下する、明るさ暗さに素早く対応できない、視野が狭くなる、まぶしさに弱い等の現象が顕著になります。
眼の中の水晶体や筋肉、視細胞等が老化することにより起こるもので、その中でも特に水晶体が濁る老人性白内障はよく知られています。
これらは自覚しやすく、老眼は眼鏡で補うことができます。
しかし、なかなか自覚しにくく、また意外に知られていないのが色覚が変化する(色の見え方が変わる。)ということです。
これは、皮膚が長年紫外線を浴びるとメラニン色素が蓄積し(日焼けの状態)、シミができるように、眼も日に焼けた、ちょうどしみ色のサングラスを掛けたような状態(黄変化)になるからです。
全体的に色の明度(明るさの度合い)、彩度(鮮やかさの度合い)とも低下して見えるため、明るい色・暗い色、くすんだ色・地味な色が見にくくなります。
老人性白内障で物がボーッと霞んで見える、二重三重に見える等はよく聞きますが、“ 高齢視”になった人には見えにくい色、判別できない配色があり、衣・食・住のあらゆるシーンにおいて不具合が生じてきます。

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