平成26年6月24日

JR四国の新型車両

 

昨日、JR四国の坂出駅で、駅員(たぶん駅長さん)にガイド・ヘルプしてもらって特急に乗ろうとしたら、何か雰囲気がいつもと違うのです。この始発の特急は汽動車なので、ディーゼル特融のドコドコ・ガラガラという音や煙の臭いがするはずなのですが、昨日はそれがありません。また、始発なのでいつもお客さんはほとんどいないのに、昨日はたくさんの客が乗り込んでいます。ポーン・・・ポーンという変わった音もしています。入口もいつもより狭い感じがします。客室の入口の自動ドアは、音もなく開きますし、客室に入った瞬間、何とも言えない新鮮な感じがします。どうやら、車両が新しくなったようです。
社内のアナウンスでは、「8600系」という新しい電車になったとのこと。そういえば数年前、JR四国が新型車両を導入するというニュースが流れていましたが、今回こにたんが乗ったのがそれだったようです。以前に、駅員に「新型車両が導入されるそうですが、いつなんですか?」と聞いたことがありますが、そのときの駅員は、わからないと言ってました。あれからどれぐらいになりますか、やっと運用を開始したようです。あとでネットで調べてみると、昨日(6月23日)は8600系の営業運用の初日だったようです。こにたんがその最初の乗客の一人だったとは、なにかいいことありそうなうれしい気持ちになりました。
ガイド・ヘルプしてくれた駅員に礼を言って座席に座ると、シートは固めで、こにたんには好みの硬さです。しかし、シートのお尻の部分が窪んでいて、少々下腹が出てきたこにたんには、少し背もたれを倒さなければ窮屈です。そのため、背もたれを倒すためのレバーを探しましたが、いつもの場所には何やら妙なものがあるだけで、レバーはありません。ありそうな場所を方々探しまわりましたが、見つかりません。しばらく考えて、もしやと思い探ってみたら、ありましたありました。レバーではなくて、飛行機にあるような押しボタンが、ひじ掛けの内側の洗炭から10センチほど手前にありました。視覚障碍者というのは、何をするにも初めての場所では戸惑ってしまいます。気を取り直してボタンを押して背もたれを少し倒すと、座席シートまで前にスライドします。また、どうやら枕部分も上下に調整できるようです。朝早く起きているので少しでも睡眠をとりたいこにたんには、嬉しい限りです。
ところで、ひじ掛けの先端部にある何か妙なものが、気になって仕方がありません。それは、2センチほど離れた場所に小さなスライド式のふたのようなものがあり、ばねで元に戻るようになっています。さいしょはこのスライド部分がスイッチになっていて、背もたれを電気仕掛けで動かすのかなとおもっていろいろいじくってみましたが、何の反応もありません。飛行機のように照明の明るさを変えるのでもなさそうです。エアコンの風速も変わりません。ちなみに、この車両のエアコンは、どこから風が出ているのかわかりませんが、微風が手や足にまで当たります。エアコンに弱いこにたんには、少し寒い感じがしますが、普通の人にはこの微風は心地よく感じられるのでしょう。さて、あの妙なものが何であるかは、とうとう電車を降りるまでわからずじまいでしたが、あとでネットで調べてわかりました。何とあれは、100ボルトのコンセントだったようです。今度の車両は、社内でパソコンなどが使えるよう、全席にコンセントが着いていたのです。JR四国産、進歩しましたねえ。最近では、そういう車両も増えてきているようですが、こにたんにははじめての経験だったので、想像できませんでした。しかも差込口がスライド式のふたになっていたとは・・・
さて、こにたんが背もたれを倒すレバーを探している間に、電車は動き始めました。しかし、動き始めるときに背中に感じるドンという振動はほとんどなく、モーターの音でしょうかあるいは電力を制御するVVVFインバータの音でしょうか、電車が加速していくときのヒューーンというだんだんと高くなる音がするのみです。しかも、ギヤを切り替えるショックもなく、加速は非常にスムーズで直線的です。ポイントを乗り越える際には加速をやめますが、それ以外は過速度のでこぼこがありません。最近の制御技術には感動です。スピードが増していくに従い、レールの振動や横揺れは強まりますが、それも以前に比べれば、かなり小さく抑えられているようです。カーブを高速走行するための振り子の制御もなかなか良好で、体に感じる遠心力もあまりありません。
そうこうしているうちに、あっという間に次の丸亀駅です。減速も直線的かつスムーズで、止まる間際の前後に揺れる感じもほとんどありません。「ドアが開きます」という女性のアナウンスが聞こえてきて入口のドアがガラリと開いてはじめて、見えないこにたんには電車が止まったことがわかったほどです。これはすばらしいです。止まるときも自動制御なんでしょうか。あの躊躇なくスーッと停止していくブレーキングは,人間業ではないでしょう。おそらくは、停止線にぴたりと止まってるんでしょうね。最近は、これが常識なんでしょうか。ほんとうにすごいです。80トン以上もある車体を、ソフトタッチで発車させ、停止させるのは容易なことではないと思いますが・・・。
またどういう仕掛けなんでしょうか、この車両はお客さんが乗ったり下りたりする際の微妙な横揺れがありません。停車中はふわふわ感がなく、どこかの建物にいるようです。寒川駅では上りの特急と離合するため停車しますが、それまでだと上り列車が高速ですれ違う際、風圧で横揺れがしていました。しかし、この車両はそれもありません。走っているときにはレールの振動を最小限に和らげ、止まっているときには横揺れがないという相反する問題を、どのようにして解決しているのでしょうか。この車両を作ったのは川崎重工業とのことですが、見事な仕事ぶりです。こにたんは一応技術屋なので、こういう立派な仕事には敬意を感じます。中国や韓国などの新興国が、安っぽくてつまらない製品を世界中にばらまいている昨今、日本の技術者の面目躍如の感があります。
そういえば、世界最古の土器は、青森県の大平山元遺跡から発見された縄文式土器で、16500年前のものだそうです。また世界最古の漆器は、北海道の垣ノ島遺跡から発見されており、9000年前のものだそうです。縄文時代も晩期になると、その技法や芸術性は高まり、縄文時代の漆器の復元を試みた青森のある漆器職人によれば、「粗い造りなんじゃないかというイメージを持っていたが、非常に丁寧に仕上げているんです。塗膜を見ても複数回重ねられているようだし、塗るときも手ではなくおそらく何らかの道具を使っている。今の自分が逆に恥ずかしいくらいいい作りだった」とのことです。このような縄文人たちの手仕事は、渡来人たちのものと融合し発展しながら今日に連綿と伝わり、技術立国日本の物造りを支えてくれているのでしょうね。新型車両の出来栄えに感心しながら、こにたんはそんなことを思いました。
さて、ここからはあとでネットで調べたことですが、この新型車両のコンセプトは「レトロ・フューチャー」だそうで、ノスタルジックな鉄道車両のイメージを「未来特急」としてデザインしており、外観は蒸気機関車をイメージしているそうです。しかし、電車と蒸気機関車の合体って、どんなイメージなんでしょう。ちょっと想像できません。見えないのが残念です。
また同車両はバリアフリー整備ガイドラインを考慮した車内設備となっていて、車いすが乗り降りできる幅広の扉や車いすスペース、多機能トイレが設置されており、この多機能トイレには、オストメイト対応設備、ウォシュレット、ベビーベット、ベビーキープ、フィッティングボード等が設置されているそうです。オストメイトはいいですね。最近は、お困りの人も多いでしょうからね。こにたんにはウォシュレットがありがたいです。でも、フィッティングボードって何でしょうか。次回乗った時に、トイレ周りを探検してみたいと思います。
また車内表示器には、フルカラータイプのものが採用され、見やすくなっているそうです。加えて客室照明はLED照明となっており、省エネと省メンテナンスを実現しているとか。ま、これは当然でしょうね。でも、客室が明るくさわやかな感じになったのは、このLED照明の効果だったのでしょうか。ちょっと驚いたのは、この車両には防犯カメラまで付いているそうです。そんな時代なんですかねえ。
ところで、JR四国の新型車両に乗ったことを妻に話すと、鉄キチの我が息子が5月の連休に松山駅に行った際に、たまたまこの新型車両がテスト走行かなんかで停まっていて、写真を撮らせてもらったみたいとの返事が返ってきました。息子に先を越されていたようです。知らなかったなあ。我が息子、恐るべしです。

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