平成25年7月31日

梅干し漬けに挑戦

先日、生まれて初めての梅干し漬けに挑戦しました。以前に実家から10kgも入ろうかという大きな甕いっぱいの梅干しをもらっていたのですが、梅干しが大の好物の長男がせっせせっせと食べてくれたせいか、今年に入りそれが底をついてしまいました。実家にもストックがなかったのか、次にもらったのは1kgほどの甕でした。それも最近少なくなりどうしようかと思っていたところ、タイミングよく生協で梅干し用の南高梅が出ていたのです。その2週間前にも梅酒用にと南高梅を注文したところ、水曜日に届いてから週末に岡山の自宅に持ち帰ったころには、梅酒にするには熟れ過ぎるほどに柔らかくおいしそうになっていました。それを梅酒に漬けながら、これは梅干しにするとおいしいだろうなと思っていたところでした。
そんなこんなで生協の梅を5kg注文しました。産地は、和歌山ではなく奈良県産で、お値段も和歌山のものより2割ほど安いものでした。シソの葉も出ていたので300gのものを2つ、さらに生協の塩1kgも合わせて注文しました。漬物容器はamazonnで10リットルのものを注文しましたが、後で梅干しの漬け方を調べてみると梅の量の3倍、すなわち今回の場合には15リットル必要とわかりちょっとショックでした。頭の中ではこれで十分と計算していたのですが、さてどうなりますか。
さて、梅干しの漬け方ですが、ネットで調べてみると、どのサイトでもその方法に大きな違いはありません。おおむね、次のような説明でした。
①梅は梅干し用の完熟のものを用いる。熟度が足りないものは、少し柔らかくなるまで室温で数日寝かせる。塩の量は梅1kgに対し180~200g。シソの量は梅の1割。加えて消毒用に35度のホワイトリカーが必要。
②梅はさっと水洗いし、つまようじなどでヘタを取り、ざるで水を切っておく。
③シソは葉をちぎり塩でもむ。これを絞り、さらに塩でもむという作業を数回繰り返す。
④漬物容器にビニール袋を入れ、内部をホワイトリカーで消毒する。
⑤梅を消毒するために、ボールなどにホワイトリカーを入れておく。
⑥漬物容器のビニール袋の中に塩を振り、梅を1個ずつ④のホワイトリカーにくぐらせ、漬物容器のビニール袋の中に敷き詰めていく。
⑦その上に塩を振り、③のシソを薄く敷き詰める。
⑧⑥と⑦の作業を梅の量だけ繰り返す。塩の量は上にいくほど多くなるように加減し、最後に余った塩を上からかぶせる。
⑨うち蓋を乗せ、ビニール袋の口を輪ゴムなどで閉じて、おもしを乗せる。おもしの重さは、最初は梅の重さ程度とし、1、2日で水(梅酢)が上がってくるので、うち蓋が梅酢につかる程度に重しの重さを調節する。これを梅雨が明けるまで置いておく。
⑩梅雨明けの晴天が続きそうな日を選んで、三日三晩梅を天日に干す。
⑪干した梅を梅酢に戻して冷暗所で保存する。
なお、上記の方法のほかにシソを入れるのを梅酢が上がってからにする方法、干した梅を梅酢に戻さない方法等、いくつかのバリエーションがあるようです。
さて、注文して1週間後、梅が届きました。漬物容器は既に届いているので、さっそく作業開始です。漬物容器にビニール袋を入れなければなりませんが、本来これは漬物専用の漬物袋というものを調達すべきですが、今回は燃えないゴミ用のごみ袋で代用です。食べ物をごみ袋の中に漬けこむのは心理的な抵抗感がありますが、細かいことは言わないことにしましょう。これをホワイトリカーで消毒するのですが、スプレーがありません。しかたがないのでホワイトリカーを口に含み、ブーーっとやりました。時代劇で刀傷を消毒するときにやっているやつです。ま、これも目をつぶってもらいましょう。
次に梅を1kgずつ開け、水洗い、蔕取りしてざるで水を切ります。本来であれば、ここで梅の水を拭き取る必要があるのでしょうが、そういう面倒な作業は省略です。
続いて漬物容器のビニール袋の中に塩を引き、ホワイトリカーをくぐらせた梅を並べていきます。ここは丁寧に並べないと、上の段にいくほどがたがたになります。でも梅の大きさは均一ではないので、コツがいります。最下段は仕方ありませんが、次の段以降では、窪んだ所に大きな梅を入れるようにしなければなりません。
さて一段目が並べ終わったら、その上に塩を振ります。そしてその上にシソをかぶせるわけですが、その前にシソを塩でもんでおく必要があります。しかし、今回買ったしそは、その作業を終えた塩漬けのものでした。さすが、生協さん、手回しがいい。
こうして梅を並べ、塩を振り、シソをかぶせるという作業を梅がなくなるまで繰り返します。上段にいくほど塩の量を増やす必要がありますので、残りの塩の量を計算しておかなければなりません。それにシソの量もです。そのためには、1段目を敷き終わった時点で、どの程度の梅が必要だったかを見ておき、残りの梅で何段積み重ねることになるかを計算しておきます。
さあて、塩をそこらじゅうにばらまきながら、最上段を詰め終えました。この時点で漬物容器の淵から3cmほどの余裕しかありません。残った塩は躊躇せずにすべて放り込みます。そして中蓋を入れ、ビニール袋の口を輪ゴムで軽くとめます。その上に重しを乗せるのですが、これも適当なものがありません。我が家で清潔そうで重そうなものと言えば、ラッキョウの入ったガラスの漬物容器です。仕方ないのでこれを乗せることにしました。
本日は、後片付けをして、おやすみです。ああ、疲れた。
翌朝、様子を見てみると、大分水が出ているようです。それにともない、梅の上端が少し沈んでいます。また、どこから漏れ出たのか、梅酢がビニール袋の周囲に染み出ています。やはり、専用の漬物袋にしておくべきだったようです。染み出た梅酢にカビが出ないことを祈るばかりです。なお、容器のサイズは10リットルではぎりぎりでした。やはりもう一回り大きいほうが作業がしやすいようです。
さて、あとは梅雨明けを待って梅を干す作業に進むわけですが、梅を付けた週の金曜日に、田舎の両親が野菜を届けに来てくれました。コニタンの単身赴任先のアパートは道路の近くでほこりが多く、また場所もないので、梅を干す作業は両親に頼もうと思っていたところでした。さすが親子、その思いが伝わったのでしょうか。結構梅酢の出た漬物容器を、田舎に持ち帰ってもらいました。
今年は梅雨明けが早く、梅を付けた翌々週には梅を干すのにおあつらえ向きの天気が続きました。そしてその後しばらくして、ガラスの容器に入った梅干しの完成品が野菜とともに届きました。梅を干すのにも少しコツがいるようですが、両親にやってもらったのでそのレポートはなしです。できあがった梅をひとつ味見してみると、肉厚で柔らかな梅干しに仕上がっています。スーパーなどで買う梅とは全く違う、透明感のある本物の梅の味がします。本来であれば、半年ほど寝かせると味がマイルドになるようです。が、そこまでは到底待てず、さっそくおにぎりに入れるなどして使っています。
ところで皆さんはスティーブ・マックイーンという米国の映画俳優をご存知ですか? 有名な人なので我々世代以前の人や映画好きな人は知っていると思いますが、この方、肺がんになり1980年に亡くなってしまいました。一説によると、レーシングのためにヘルメットの下にかぶっていた耐火服のアスベストが原因で中皮腫になったとか。発見された時には手遅れの状態だったといいます。しかし彼は代替療法に一縷の望みを託し、梅や杏の種から抽出されたアミグダリンという物質を使う治療法を試み、それが奏功して腫瘍はかなり小さくなりました。そしてそのことを記者会見して世界に発表しました。こにたんは癌は治らない病気と思っていましたので、ニュースを見て驚きました。その頃こにたんは大学の研究室で卒論の実験をしておりましたが、研究室でもそのことが話題になっていました。しかし、1週間ほどたってスティーブ・マックイーンが亡くなったとのニュースが伝わってきました。あれ、彼は癌を克服したんじゃなかったの? とみんなで驚きあったものです。先の記者会見後、彼は癌を感知させようと、別の病院で手術を受けたのでした。その手術は成功したようですが、なぜか心筋梗塞で亡くなってしまったのです。
梅干しの作り方を検索していると、和歌山のある人のもとに、スティーブ・マックイーンのエージェントが1980年に梅の種を求めてやってきたというような記事を見つけました。実は、学生時代、リアルタイムでニュースを見ていた時には、彼が受けたのがどのような療法かはわかりませんでしたが、今回それがアミグダリンを使った治療法だということが分かった次第です。梅のパワー、恐るべしです。
さて、梅の秘めたる力がわかったところで、少々気になるのが塩分ですが、これも入れた塩の量から考えて1戸当たり1g程度と分かりますので、まあ問題ないかと。塩の話には驚きの研究もありますので、そのうちこのコラムにも書こうかと思いますが、自家製の食品(加工食品でないという意味)を取っている限り、塩分はそれほど気にする必要はないと考えています。

以上、今回は視覚障碍者が梅干し漬けをやってみたというお話でした。

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